注文住宅を建てようとおもったが、1階建ての平屋、2階建て、3階建てどれがいいのだろう。1階建ての平屋、2階建て、3階建てにはそれぞれ魅力があります。今回はそれぞれのメリット・デメリットをわかりやすく紹介します。
平屋と2階建て、3階建てのメリットとデメリット
平屋と2階建て、3階建てそれぞれのメリットとデメリットをまとめました。平屋と2階建て、3階建てどれを建てるか悩んでいる方にオススメです。
平屋住宅のメリット・デメリット
階段が要らないので移動がラク
平屋は階段が無いので毎日の上り下りがなく、将来年を取ってからの事を考えると大きなメリットとなります。また、階段や2階の廊下スペースが不要となるのでその分坪数が少なくても広さを感じることができます。
廊下を広くしたり、段差を少なくしたりといったバリアフリー対応は平屋の住宅の方がしやすいのもメリットでしょう。
完成後のメンテナンスもラク
平屋の家は2階建ての家と比べて屋根や外壁に高さがないのでメンテナンスのときに足場を組む必要がない。2階建てだと足場を組む必要があり運搬費用などのランニングコストもかかってきます。
太陽光発電システムを多く搭載できる
平屋住宅であれば2階建てや3階建てより屋根の部分が大きくなり、その分太陽光発電システムを多く搭載できるようになります。太陽光発電システムは10kw未満の場合10年間の固定価格ですが、10kw以上搭載すると、買取価格は落ちるものの20年間固定価格で電力を売却することができます。
太陽光発電システムを含めて住宅ローンを組み、ローン返済額を減らすことも可能となります。
建物に安定感があり地震や台風も安心
平屋は高さがない分、台風の風での揺れや地震時のゆれが2階建てよりも揺れにくい。
土地を広く確保する必要がある
平屋を建てるのであれば広い土地を確保する必要があり、土地から購入するのであればそれだけ全体の総額が高くなってしまいます。一方で、坪数の違いがあまり気にならないような地方で平屋を建てるのであれば広い土地に家庭菜園を造るといったことを楽しむこともできます。
防犯対策をしっかりする必要がある
平屋住宅を建てた人の中には、家が外から見えないように塀を高く作ったり木を植えて敷地を隠す構造を取ってしまうかたが多くいます。その欠点としては人が入っても隠れる場所を与えてしまったり外から中の様子が見えなくなる危険性もあります。
その対策として、中が見える透過性のある囲いや中庭をつくるといいです。
プライベート空間を作りづらい
平屋住宅は全てが同じ高さなので、複数階建ての建物と比べて、上の階は子供部屋、下の階は親の部屋という構造を作ることができないのでプライベート空間の確保が難しくなります。逆にいうと子どもが中学生になったときなどに部屋にこもってしまうことが少なくなるメリットもあります。もし平屋でプライベート空間を作りたいかたは事前に設計士のかたなどに相談してみましょう。
平屋住宅とは?
建物が1階だけの平面構造になっており、2階や3階がない1階建ての建物のことを平屋住宅といいます。平屋住宅が人気な理由としては階段がないので移動が負担にならなく掃除をするときもラク。身体への負担も少なくシニア世代である高齢者にも人気な作りとなっている。
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2階建て住宅のメリット・デメリット
建築費用を安く抑えることができる
2階建て住宅は一般的に平屋住宅や3階建て住宅と比べて建築費用を安く抑えることができます。ハウスメーカーでは企画住宅といって、決められた間取であれば注文住宅より安く建てられるものもありますし、建売住宅の多くは2階建てで、販売開始から年数の経ったものであれば割引を受けて購入できる可能性もあります。
2階建てを対応できる住宅会社が多い
2階建ては平屋や3階建てより建てる人が多く、対応できる住宅会社が多く、建築事例が多いといった点がメリットとして挙げられます。また、モデルハウスや建売住宅、展示場など実物を見ながら家造りを進めやすいのもメリットです。
2階を水回り(お風呂、洗面所)にすることもできる
2階にお風呂や洗面所にすることでのメリットは洗面所で洗濯機を回してから洗濯物を干す「物干しのポイント」までの動線が短くてすむことです。1階に水回りを置くと洗濯物を干すときに2階まで階段の昇り降りが必要ですが、2階水回りだとその登り降り不要になります。さらに洗濯物を収納する寝室も2階にあることが多いので収納もラクになります。
逆に2階水回りのデメリットは、1階に洗濯物を干すときに遠くなってしまうことと子どもが家に帰ってきて手を洗うときに2階に行かないといけないことなどがあります。
2階に水回りを置くことでその分1階にスペースが生まれますので1階を広いリビングにしたい方などはオススメの間取りです。
防音対策を考える必要がある
2階建ての場合、2階で子どもが暴れたときに1階に響いてしまうということがありますので2階建ての場合は防音対策を考えなくてはいけない。平屋だと子どもの足音対策の不安もいりません。
大きなデメリットは見当たらない
平屋建てのように広い敷地を必要とせず、3階建てのように建築法規に引っ掛かりにくい2階建て住宅に大きなデメリットは見当たりません。階段のない生活がしたいのであれば平屋住宅を、都心の小さな土地に建物を建てたいのであれば3階建て住宅を選ぶといった「外せない理由」が見当たらないのであれば2階建てを選ぶと良いでしょう。
3階建てのメリット・デメリット
土地取得費用を安く抑えることができる
3階建ての住宅であれば土地の広さが狭くても大丈夫なので、土地から購入する場合土地取得費用を低く抑え、建物にお金をかけることができます。交通の便がよい東京埼玉など都心部で建てる場合は小さい土地である狭小地しか売り出されないようなことが多いのでその場合は3階建ては向いています。
小さい土地だとお子様が遊ぶ庭を確保できないものの、3階部分の一部を屋上バルコニーにしてお庭のように使うこともできます。
建築費用が高くなってしまうが、総額で考えると安くなることも
3階建ての住宅は建築法規の問題や地盤改良の問題で平屋や2階建てより高くなってしまう事が多いですが、土地取得費用を安く抑えることのできるメリットと合わせて考えると総額で安く抑えることも可能となります。
例えば、坪単価30万円のエリアに50坪の土地を求めて2階建てで坪単価60万円の住宅を建てる場合と、30坪の土地を求めて3階建てで坪単価70万円の住宅を建てる場合とで比較してみましょう。
前者では土地取得費用が1,500万円となり、住宅の広さを40坪とした場合、総額で1,500万円+(40坪×60万円=2,400万円)で、3,900万円となります。一方、後者では土地取得費用が900万円となり、住宅の広さを40坪とした場合、総額で900万円+(40坪×70万円=2,800万円)=3,700万円と3階建ての方が安くなります。
3階建ては間取りの工夫が必要
平屋の住宅であれば各部屋は1階に全てあることになりますし、2階建ての住宅であればLDKや和室、水回りを1階に、寝室を2階に配置するのが一般的ですが、3階建ての場合平屋や2階建てより工夫した間取が必要になります。
例えば、1階にLDKを配置した場合、周辺も2階建てや3階建てが多く土地が狭ければ陽当りの少ないLDKとなってしまいます。2階にLDKを持ってくることも多いですが水回りをどうするのか、収納をどうするのかといった点など「生活の動線を」良く考える必要があるでしょう。
3階建ては階段が多くなる
1階から3階まで登る階段がツラくなるときが来るかもしれません。若いときはラクラクと登れた階段も老後になると登らなくなり3階に行くこともすくなくなるかもしれません。
3階建てをつくる前に将来的に部屋をどうするか?の計画を建てたり、リフォームをしてエレベーターをつけたり手すりをつけたりなど考える必要があります。
3階建て住宅はこんな人におすすめ
2世帯住宅を考えている人。2階は親家族、3階は子家族、1階は共通スペースが利用という間取りを作ることができる。
1階スペースに駐車場や趣味のスペース、店舗を作りたい人。
平屋と2階建て、3階建て、どれがおすすめ?
家造りをするのにあたり、家を平屋にするのか2階建てにするのか、はたまた3階建てにするのかで迷われる方もいらっしゃるでしょう。
新築される家の階数を決めるにあたり、考慮しておくと良いのが「建築費用」と「土地の広さ」、そして「将来設計」の3つのポイントです。
建築費用ではどの構造が一番安い?
平屋と2階建て、3階建てではそれぞれ建物が同じ坪数でもかかってくる金額が変わってきます。理想の間取りを考えた時に、どの階数を建てると一番安いのでしょうか。
建物内の広さが同じであれば2階建てが1番安い
一般的に、同じ広さ・仕様平屋と2階建て、3階建ての住宅は2階建てのお家が一番安く建てることができます。
・建物は屋根と基礎にお金がかかる
なぜ2階建てが1番安くできるかというと、建物は屋根と基礎の材料に1番お金がかかるかです。例えば、同じ40坪のお家であれば平屋であれば屋根と基礎それぞれ40坪分必要となりますが、1階と2階の広さが同じ2階建ての建物であれば20坪分で済むことになります。
一方、この考えで行くと、3階建てが1番安くなりそうですが、3階建てには平屋と2階建てにない、高くなる理由が存在します。
3階建ての建物が高くなる理由
3階建ての建物が平屋や2階建てと比べて割高となってしまう理由には、大きく「構造計算」と「地番改良」の2つの理由があります。
構造計算
住宅を建てる際には建築基準法の要件をクリアする必要がありますが、現状、3階建ての住宅は構造計算をしないと建築することが出来なくなっています。一方、2階建て以下の一定の大きさ以下の建物は構造計算が免除されています。
平屋や2階建て以下の住宅であれば必要最小限の壁量、耐震性等を満たしていれば大丈夫なのですが、3階建ての住宅では構造計算を行い、充分な量の柱や梁、壁面を確保する必要があるのです。
これは、逆に安心できる点でもあります。2階建てや平屋であっても充分な強度にしたいのであれば3階建てと同様の建築費用になるでしょう。
ただ、構造計算には特別な資格や機器も必要になるので構造計算自体にお金がかかってしまう点にも注意が必要です。構造計算には特別な資格がいるので100万、200万もかかりそう一般の人は思われがちですが、構造計算は高くても20万円ほどです。全体の建築費と比べるとわずかな金額ですのでご安心ください。
地盤改良
住宅を建てる際、土地の地盤が充分な強度を持っているかどうかの地盤調査をする必要があり、調査結果次第では地盤改良費用が発生してしまいます。
もちろん、平屋や2階建てでも地盤改良費用が発生することもありますが、3階建ての方が平屋や2階建てより建物の重量が重くなり、同じ土地であればより地盤改良が必要となりやすいのです。
地盤改良は、必要な改良の度合いに応じて50万円(軟弱な地盤が2m程度の表層改良)~100万円程度(軟弱な地盤が8m程度までの柱状改良)、100万円~(より深い地盤まで改良が必要な場合の鋼管杭)の費用がかかってしまいます。
土地の広さで平屋と2階建てを考える
住宅の階数は、住宅を建てる土地の広さに大きく影響を受けます。
当然のことながら、平屋の住宅を建てるのであれば1階建ての家が建てられ、さらに駐車場やちょっとしたお庭まで確保できる広さが必要となります。逆に、3階建てを建てるのは広い土地を確保できなかったからという理由の方がほとんどでしょう。
土地の価格は坪単価で計算され、広ければ広い程費用が高くなります。
平屋を建てるのであれば70坪程度の広さの土地は欲しいところです。3階建てであれば30坪程度の土地も候補に入ってくるでしょう。坪単価30万円程度のエリアに土地を求めるとすれば、70坪の土地は2,100万円ですが、30坪の土地であれば900万円となります。
先にお伝えしたお金の面と合わせて、40坪~50坪程度の土地に2階建ての住宅を建てるのが一番お得だと言えます。
エリア次第で建物の階数を決める
土地の広さは都心か地方かによっても変わります。
地方に行けば行くほど坪単価は安くなり、広い土地を取得しやすくなる一方、都心に行けば行くほど坪単価は高く、また広い土地を取得すること自体が難しくなります。
都心ほど3階建てが多く、地方程平屋が多いのはこうした理由からです。
ここで気を付けたいのが、周りの住宅環境に応じた階数にするべきだということです。
3階建てが多い都心で、平屋が建てられるだけの広さの土地を確保できたとしても、周りが3階建てばかりの中に平屋を建ててしまうと充分な陽当りを確保できなくなってしまいます。
また、エリアによっては建物の高さを10m以下にしなければいけないエリアもあり、そもそも3階建てが建てられないケースもあります。
将来設計を考える
住宅を平屋にするのか、2階建てにするのか3階建てにするのかは将来のことも含めて決めることをおすすめします。住宅を建てる時はまだ若く、気にならないという方も多いかと思いますが、将来年を重ねた後のことを考えると3階まで行かなければ寝室にたどり着かない間取であれば毎日の上り下りが大変です。
平屋の住宅であればそうした問題もありませんが平屋を建てられるだけの土地の広さを確保できないのであれば、多少建築費用がかかったとしてもエレベーターを設置するなど検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
平屋と2階建て、3階建てのそれぞれのメリット、デメリットについてお伝えしてきました。
お家を建てたいのが都心なのか地方なのか、広さはどの程度なのか、庭や駐車場はどの程度欲しいのか等、どの点が妥協でき、どの点が妥協できないのか優先順位をつけて考えてみると良いでしょう。